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アロマの化学が分かると、精油の楽しみ方はもっと自由になる
難しく見えるアロマの化学も、一日で全部理解する必要はありません。骨格や官能基と少しずつ顔見知りになることで、香りや性質を自分で考える楽しさが広がります。
「香りの粒は、原子が集まってできています」
ここまでは、なんとなくイメージできる人も多いかもしれません。
ところが、原子の結合、共有結合、二重結合、構造式、官能基……と新しい言葉が続くと、急に厳しくなってきます。さらに極性まで出てくると、「もう分からない」と感じても不思議ではありません。
でも、それは化学に向いていないからではなく、長い時間をかけて理解する内容を一日で学ぼうとしているからかもしれません。
私自身も、以前は構造式を見ても、線が何を表しているのか分かりませんでした。アロマの化学が得意な先生の授業を受けても、内容そのものはやはり難しかったです。
それでも、分からないことを聞くと、どんなに些細な質問でも呆れることなく、それでいて楽しそうに笑顔で答えてくださった先生方の姿に、
「分かると、こんなに楽しいのかも〜」
そう思えたことが、学び続けるきっかけになりました。
最初は「顔見知り」になるくらいでいい
私の授業では、最初からすべてを理解することをゴールにしていません。
分子式や構造式、初めて聞く成分の名前に「はじめまして」と挨拶をして、初対面から顔見知りになる。まずは、そのくらいで十分です。
原子を色のついた粒で表した分子模型に触れたり、原子が結びつく様子を「手をつなぐ」と考えたりすることもあります。
模型を正しく完成させることだけが目的ではありません。目に見えない分子を実際に触りながら、「こういう世界なのか」と少し身近に感じることにも意味があります。
アロマの化学の本番は、その先にある
アロマの化学で本当に使いたいのは、難しい構造式をすべて暗記する力ではありません。
香りの分子を、骨組みに当たる「骨格」と、性質を特徴づける「官能基」に分けて考える見方です。
私は授業で、骨格をボディ、官能基をアクセサリーに例えています。
同じようなアクセサリーを持つ分子には、似た性質が見られることがあります。グループ分けが分かると、香りの傾向、水に溶けやすいかどうか、皮膚刺激に注意が必要かといった特徴を考える手がかりになります。
もちろん、骨格や官能基だけで、その精油の働きや安全性のすべてが決まるわけではありません。それでも、成分表がただの知らない名前の集まりではなくなります。
分かるほど、精油との付き合い方は自由になる
化学が少し分かるようになると、習った精油だけを覚えて使うところから、一歩先へ進めます。
初めて見る精油でも、含まれている成分から香りや性質を予想し、注意点を調べる入口を見つけられるようになります。
知らない精油だからと必要以上に怖がらず、かといって何となく使うのでもなく、自分で考えるための手がかりを持てるのです。
一日で全部分からなくても大丈夫。
今日は構造式を見た。骨格という言葉を知った。官能基が分子の特徴に関わると分かった。
そんな小さな「顔見知り」を重ねていくことで、精油の楽しみ方は少しずつ自由になっていきます。